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呼吸とニューテーション・カウンターニューテーション

人の体の動きはひとつの部位だけで完結するものではなく、呼吸や姿勢の変化をきっかけに筋膜や骨格の連動を通して全身へと波及していきます。呼吸も例外ではなく、吸ったり吐いたりする動作が実は身体の深部にある骨や関節の動きに影響を与え、姿勢や筋肉の働き方までも変化させているのです。

呼吸のうち、息を吐く「呼気」のタイミングでは仙骨と呼ばれる骨が前傾しながら、軽くうなずくような運動をします。このとき、靭帯による関節の支持力が高まり、骨盤の安定性が強化されます。このような仙骨の動きを「ニューテーション」と呼びます。ニューテーションが起こると、インナーマッスルとの連動がしやすくなり、筋肉同士の力の伝わり方がスムーズになります。スポーツの場面で力を入れる瞬間に「息を吐け」と言われる理由は、まさにこのニューテーションを利用して、骨盤を安定させより強く正確に力を発揮できる状態を作るためです。

一方、息を吸う「吸気」では仙骨が後ろへ傾きながら起き上がるように動きます。このときは靭帯ではなく筋肉による支持が優位となり、仙腸関節はやや緩んだ状態になります。これを「カウンターニューテーション」と呼びます。ニューテーションが「締まり」の状態であるのに対し、カウンターニューテーションは「弛み」の状態と表現されます。

仙骨が前傾するニューテーションでは、仙骨がわずかに前方かつ上方に移動し、仙腸関節がしっかりと噛み合う「締まりの位置」となります。これによって骨盤全体が安定しやすくなり、腰部の筋肉にかかる負担も軽減されます。逆に、仙骨が後傾するカウンターニューテーションでは、仙骨が後方かつ下方に沈み込むように動き、仙腸関節は緩んだ「弛みの位置」となります。

この仕組みは、特に慢性的な腰痛のケースにも関係しています。例えば、仙骨が常に「弛み」の状態にあると、関節自体の支持力が弱まり、その分を筋肉が補おうとして過剰に働くことになります。これが結果的に筋肉や筋膜に負担をかけ、痛みの原因となることがあります。

とはいえ、「締まり」が常に良いというわけではありません。歩行を例にとってみると、体重を支える側の脚では仙腸関節が「締まり」の位置となり、しっかりと体重を受け止める準備が整います。一方で、反対側の脚、つまり地面から離れて動こうとしている脚の側では、仙腸関節が「弛み」の状態となり、スムーズに動かしやすい状態が作られています。つまり、人間の動作には「締まり」と「弛み」の両方が必要であり、それぞれの役割がバランスよく入れ替わることが大切なのです。

そのためには、仙腸関節の可動性をしっかりと保っておく必要があります。可動性があることで場面ごとに必要な動きへと柔軟に切り替えることができ、結果として体に無理のない軸が生まれます。ニューテーションとカウンターニューテーションという相反するようで補い合う動きをうまく活かすことで、力に頼らない、より正確で効率的な身体の使い方が可能になります。呼吸という日常の動きが実は体の深層に大きな影響を与えているという視点を持つことは、姿勢の改善や痛みの予防、さらにはスポーツパフォーマンスの向上にもつながっていくのです。

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